チャイムに合わせ大神が号令を掛けると、5年おもいやり組の少女たちは一斉にテスト用紙を引っ繰り返した。その瞬間「きゃっ」と声を上げたのは、剣道部の海野美奈だ。美奈は意気込むあまり力の加減を間違えたようで、用紙と一緒にブラジャーのカップ部分を引っ繰り返してしまったのだった。
ブラジャーとほぼ同じ色の、桃色の乳輪が覗ける。ブラジャーで隠しているものがブラジャーと同じ色をしているならば、ブラジャーをする意味はないのではないかと大神は思う。
試験中なので大っぴらに声は出せないものの、周囲の少女たちからクスクスと笑い声が漏れる。
もっとも女子校に5年も通っている少女たちなので、裸に対する羞恥心はほぼ皆無に等しい。そのためこの場合の笑いは、単に美奈の慌てている様子が可笑しかったに過ぎない。たしかに普段は剣道部の絶対的なエースとして君臨する海野美奈が、ブラのカップを引っ繰り返して「きゃっ」とかわいい声を上げる様は、なかなかに痛快なものだった。
とは言えこれはおもいやり組だからこそ発生する笑いだろう。夏服がビキニのあざやか組では乳輪が露出することなど日常茶飯のため、この程度のことでは誰も驚かない。普段はワンピースで、ランジェリー期末試験での普段との落差がいちばん激しいおもいやり組だから、乳輪の露出が珍しい。
美奈は急いでカップを直そうとするものの、焦ってかなかなかうまくいかない。
仕方なく大神は立ち上がり、美奈のもとへ近付いた。そして机の後ろに立ち、ブラの紐を少し持ち上げながら乳房を掬い上げるようにして、向きを正したカップの中へと引き入れる。いっそブラそのものを外してしまおうかとも思ったが、やはりそれはおもいやり組の気風を勘案して止した。あざやか組なら間違いなくそうしていたが、おもいやり組だとさすがにそれは場がざわめくだろうと思った。
華麗な手つきで乳房をしかるべき状態に直してもらった美奈は、頬を赤らめつつスポーツ少女らしいさわやかさで大神に向かって頭を下げると、テスト用紙へと向き直った。
その瞬間に「きゃっ」と声を上げたのは、生徒会所属の日野瞳であった。
見やると日野6姉妹の次女である瞳が椅子から転がり落ちそうになって、そしてなぜか尻をさらけ出していた。よく日焼けしたあざやか組の生徒がビキニを脱いだら尻が真っ白で驚くことがあるが、普段ワンピースを着用している瞳の肌は、腹も尻も関係なく白い。ピンクのショーツが剥がれた17歳の真っ白い尻の中央には、鮮烈な裂け目が走っていた。
どうやら消しゴムを落としたのを拾おうとして、椅子のどこかの部分にショーツが引っ掛かってしまったようだ。その結果として尻を出しつつ椅子から落ちそうになっているところらしい。水泳部やバスケ部に妹を持つ日野瞳は、破壊的な運動神経の悪さで校内でも有名だった。
秋の選挙で次代の生徒会長になるのが規定路線とされている優等生の、なんとも不恰好な姿だった。
これにはさすがに周りの生徒も笑い声をおとなしく抑えることなど不可能だ。ドッと堰が切れたように、5年おもいやり組の教室は爆笑に包まれた。
その大音量はもちろん廊下まで響き、隣りやその隣りの教室にまで届いただろう。
あーあ、試験中なのに。これは間違いなくあとで学年主任に怒られることになるだろう。
大神はそう観念すると、仕方なくスラックスのベルトを外した。そしてトランクスごと一気にそれを脱ぎ去る。毒を食らわば皿まで。どうせ怒られるのなら、試験中にセックスぐらいしておかなくては損だ。
posted by おむすび三太 at 11:10|
7月5日
|

|